和名でマツムシソウとも呼ばれる、多くは春と秋に特徴的な花を咲かせるスカビオサの育て方

春夏見頃の花

雪の結晶のような繊細な花を咲かせる、スカビオサ(マツムシソウ)

スカビオサは、アジア、アフリカ、ヨーロッパを中心に世界に約80種が分布するスイカズラ科マツムシソウ属の多年草、または1・2年草になります。

日本では2年草であるマツムシソウ(scabiosa japonica)が自生しており、秋の高原を彩る代表的な草花として有名です。

主に栽培されるのは、前述のマツムシソウの他に、1年草のセイヨウマツムシソウ(scabiosa atropurpurea)、多年草のコーカサスマツムシソウ(scabiosa caucasica)などがありますが、その他にも数多くの品種が流通し、花壇や鉢物、切り花として広く利用されています。

花期は品種や地域によって異なりますが、春咲き、秋咲き、四季咲き性の品種などがあり、多くは春と秋に開花期を迎えます。

花期になると、伸びた茎の頂部に花径3~7cm程度の小さな花が多数集まって花を形成する頭状花を咲かせます。

花の中心部は筒状花で、周辺部の花は外側に長く伸びる花弁を持っています。

まるで雪の結晶のような繊細で美しい花は、白色、青、紫、ピンク、赤などの花色があります。

草丈は20cm程度の矮性種から1mになる高性種まであり、用途によって選ぶとよいでしょう。

耐寒性は高くその点では育てやすいのですが、暑さと蒸れに弱く暖地では宿根草タイプでも夏の暑さで枯れてしまうことが多く、1年草として扱われることが多くなっています。

スカビオサは、ラテン語のscabiea(疥癬/かいせん)が語源となっており、ダニなどの寄生虫による皮膚病の治療薬として利用されていたことに因みます。

和名ではマツムシソウ(松虫草)と呼ばれ、松虫の鳴く季節に咲くからという説や、花弁が散った後の果実の形が、六部巡礼で使用する松虫鉦(まつむしがね)に似ているからなど諸説あります。

日本に自生するマツムシソウは、北海道から九州まで分布する日本固有種のスカビオサになります。

花期は8~10月、薄紫色の美しい花を咲かせます。

また白花品種のシロバナマツムシソウや、草丈の低いソナレマツムシソウなどの変種もあります。

 

 

スカビオサの土について

水はけのよいアルカリ性の砂質土を好みます。

市販の培養土でも大丈夫ですが、できれば鹿沼土や山砂などを3割程度混ぜ、水はけを良くしたものを使用すると株が長持ちします。

それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

宿根草タイプのものを栽培する場合には、山野草向けの用土を使用するようにするとよいでしょう。

 

 

 

スカビオサの肥料について

元肥として植え付ける際に緩効性肥料を混ぜ込んでおくようにします。

土の酸性を嫌うので、植え付ける際には苦土石灰を混ぜておくようにすると良いでしょう。

春の成長期花後、固形肥料で追肥するようにするとよいでしょう。

 

 

 

スカビオサの苗について

スカビオサの苗を購入する際には、葉が生き生きとして病害虫のついていない元気なものを選ぶようにします。

また、根がデリケートで植え替えを嫌う性質がありますので、購入する際にはなるべく幼い苗を購入するようにしすぐに植え付けてやるようにしましょう。

スカビオサの植え付けの適期は3月中旬~4月、9月中旬~10月頃になります。

 

 

 

スカビオサの種まきについて

スカビオサの種まきの適期は、9月中旬~10月頃、発芽適温は18℃になりますので、寒冷地では春まきで、3月中旬~4月が適期となります。

種が大き目の為、ばらまきにし、5mm程度覆土してやるようにします。

花後に採種した種は、外皮が硬く発芽が難しいため、まく前に砂などでもんで吸水しやすくしてやると発芽率があがります

7~10日程度水を切らさないように管理すると発芽しますので、発芽後は日向で管理し本葉が3~4枚程度になったらポットあげするようにします。

自家採種する場合には、花後の果実が茶色く乾燥したら採種のタイミングとなります。

晴れた日を選び種を採取します。

その際、触ってみて固くない種子はシイナ(発芽能力のない未熟種子)です。

スカビオサの種はこのシイナがままありますので、多めに採種するようにするとよいでしょう。

採種した種はシイナを除いて紙袋などに入れて、涼しい場所で保管するようにします。

 

 

 

スカビオサの日当たりについて

日光を好むので、日当たりのよい風通しのよい場所で管理するようにします。

ただし、暑さに弱いため夏は半日陰の涼しい場所に移動してやるようにしましょう。

 

 

 

スカビオサの水やりについて

土の表面が乾燥したら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

スカビオサは暑さと蒸れを嫌います。

過湿な環境が苦手ですので、水やりのし過ぎには注意するようにしましょう。

 

 

スカビオサの花がら摘みについて

花が咲き終わったら、花茎は早めに切り取るようにします。

草丈が高くなると倒れやすくなるため、支柱を立てるなど対策してやるようにしましょう。

 

 

 

スカビオサの切り戻しについて

スカビオサには様々な品種があり、1年草から多年草のものまであります。

1年草のものは、花後にどんなに手入れを行っても枯れてしまいますので、自分が育てているスカビオサが1年草なのか2年草なのか、多年草なのかはきちんと把握しておくようにしましょう。

毎年花を楽しみたいのならば、宿根草タイプのものを購入するようにするとよいでしょう。

宿根草タイプのものは、夏に株が弱ってしまうと翌年よい花が咲かなくなってしまいます。

梅雨の後は、花や蕾を含めて株全体を切りつめ、葉も間引いて管理するようにするとよいでしょう。

 

 

 

 

スカビオサの挿し芽について

スカビオサは主に種で増やすのが一般的ですが、挿し芽でも増やすことができます。

挿し芽を行う場合には、花芽になっていない若い芽を切り、水あげをして湿らせた土に挿します。

刺し芽の土、鉢についてはこちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

刺し芽については、ラベンダーですがそちらでも紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

 

スカビオサの温度について

スカビオサは、暑さと蒸れに弱い性質があるため夏越しできない場合があります。

宿根草タイプのものを夏越しさせる場合には、過湿や蒸れを避け、半日陰の涼しい場所で管理するようにするとよいでしょう。

梅雨前には、株を切り戻して蒸れを防ぐようにしてやると夏越しの確率が上がります。

耐寒性は強い為、戸外での冬越しも可能です。

 

 

 

スカビオサの病害虫について

過湿な環境を嫌うため、多湿や風通しが悪いと灰色カビ病になる可能性が高くなります。

発生した場合には、なるべく早めに患部を切り取り感染の拡大を防ぐようにしましょう。

 

 

 

独特な美しい花姿で花壇を彩ってくれるスカビオサ。

あなたもスカビオサを育てて、ガーデニングを楽しんでみませんか?

 

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