夏越しさせず、1年草として育てるならビギナーさんでも大丈夫、シクラメンの育て方

秋冬見頃の花

ガーデンシクラメンと、シクラメンは育て方が違う

シクラメンとガーデンシクラメン、よく似た名前なので同じ植物かと思う方もいるかもしれませんが、この2つ、ちょっと育て方も違うんです。

シクラメンは、耐寒性がそれほど高くないので、室内での管理になります。

ガーデンシクラメンは、ミニシクラメンの中から特に耐寒性の強い系統を選び品種改良したもので、耐寒性があり冬も戸外で管理できる品種となります。

ガーデンシクラメンとよく混同されがちなのが、ミニシクラメンです。

ミニシクラメンはシクラメンを小さく育てただけですので、サイズの違うシクラメンとはいえ、特徴はシクラメンと同じで耐寒性がそれほど高くはありません。

ただ、見た目で違いを見分けるのは難しく、園芸店でも混同して販売されている場合もあるようですので、購入する際にはよく確認してから購入するようにするとよいでしょう。

シクラメンは地中海沿岸原産で、乾季と雨季がある地域原産の植物になります。

夏が乾季にあたり、球根は休眠して夏越ししますが、日本の夏は多湿な環境でシクラメンにとっては過酷な環境になりますので、夏越しは成功率が低くなる傾向があります。

ビギナーさんは、夏越しさせず廃棄するつもりで育てるのならば、育て方はそれほど難しくありません。

シクラメンという名前は、ギリシャ語で「回転する」「丸い」を意味するcycleが語源と考えられています。

しかし、このcycleがシクラメンのどのような所を指しているかについては、「花(蕾)が螺旋状に巻いているから」「独特の丸い塊茎(球根)の形から」「花が終わった後の茎が、丸く円を描くように下に曲がることから」など、様々な説がありはっきりとしたことはわかっていないようです。

日本では女性歌人の九条武子(大正から昭和前半に活躍)が、シクラメンの花を見て、花の形がひっくりかえったような形で「篝火のようですね」と言った言葉を聞いた、植物学者の牧野富太郎が「カガリバナ」という和名をつけたといわれています。

その他にも和名で「豚の饅頭(ブタノマンジュウ)」とも呼ばれていました。

ある植物学者がシクラメンの英名(雌豚のパン sow bread)を日本語に翻訳したものです。

しかしそれらの名前はあまり普及することはなく、結局学名の「シクラメン」に落ち着いたようです。

花の少ない時期に、冬から春にかけて次々と花を咲かせ、彩りを与えてくれ、花色は、赤や白、ピンクなどがあり、花の形も色々とあり、選ぶ楽しさもありますよね。

 

 

ガーデンシクラメンの土について

市販の培養土で大丈夫です。

自作する場合には、赤玉土4、腐葉土4、日向土2の割合で混ぜたものを使用するとよいでしょう。

それぞれの土については、こちらで詳しく説明していますので参考にしてみてください。

 

 

 

 

シクラメンの肥料について

植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を混ぜておくようにします。

9月~5月上旬までは、1週間に1回程度を目安に液体肥料を与えるようにします。

夏の間は、非休眠株には2週間に1回程度薄めの液肥を与えるようにします。

休眠株には、一切肥料は与えないようにします。

底面吸水鉢に植え付けられている場合には、1週間から10日に1回程度、薄めた液肥を鉢底に与えるようにします。

 

 

シクラメンの植え替えについて

シクラメンの植え替えの適期は、無事に夏越しをした8月下旬から9月中旬になります。

植え替えの際には、鉢から株を取り出して植え替えますが、その際根を張っている土を多少落とすのみにします。

土を落としてしまうと強いストレスとなり、回復するまでに非常に時間がかかってしまいます。

植え付けの際には、球根は半分から1/3程度が埋まるように、一回り大きな鉢に植え替えを行います。

開花を控えて肥料を多く必要としますので、必ず元肥を混ぜておくようにしましょう。

 

 

シクラメンの夏越しについて

シクラメンが自生しているのは、乾季と雨季のある地域となり、乾季に休眠します。

この乾季が、日本では「夏」に当たりますが、日本の「夏」は「多湿」ですので、自生地の「乾季」とは程遠い環境になります。

シクラメンは球根植物で、過湿な環境では腐りやすくなります。

そこで、シクラメンを夏越しさせる為、株を休眠させて夏越しさせる方法と、休眠させずに夏越しさせる2つの方法があります。

 

休眠させて夏越しする

シクラメンの夏越しは、休眠させる方が簡単で成功率が高くなるといわれていますので、ビギナーさんが夏越しに挑戦するなら「休眠させる」方法をとる方がよいでしょう。

ただし、休眠させると開花期間が多少(1カ月ほど)短くなり、開花時期も1カ月ほど遅れます。

休眠させる場合には、花が終わり4月下旬から5月になり、気温が高くなってくるとだんだんと花数が減り、葉や茎も枯れたり黄色く変色してきます。

このような状態になったら、そろそろ休眠体制に入るタイミングです。

梅雨時期になると、花もなくなり葉や茎もほぼ枯れているはずですので、残っている葉も根元からねじってカットしてしまいましょう。

水やりも完全にやめ、カラカラに乾かすようにします。

肥料も同様に一切与えない状態のまま、風通しのよい日陰で雨が当たらない場所に移動させ、そのまま8月下旬頃まで管理するようにします。

休眠期には、葉や茎、花は枯れてしまって何もありませんが、球根だけは土の中できちんと生きています。

その後、8月下旬から9月上旬に上手く夏越しができれば、植え替えを行ってやるようにします。

もし、夏越しが失敗しても、日本の気候で夏越しさせるのは向いていませんので、がっかりせず仕方ないくらいの気持ちで挑戦してみましょう。

 

 

 

 

休眠させず夏越しする(非休眠法)

休眠させない場合には、夏でも多少ですが葉を出して夏越しさせます。

休眠させない場合は、水やりはやや乾燥気味に行うようにして、風通しのよい半日陰か日陰で管理してやります。

非休眠法は、休眠させるより難しいので、開花を早めたいなど目的がないのならば、できるだけ夏は休眠させる方が成功率は上がります。

上手く夏越しできればラッキーくらいの気持ちで挑戦するとよいのではないでしょうか?

もし夏越しに成功した場合は、秋に植え替えを行うようにしましょう。

 

 

 

シクラメンの日当たりについて

夏を除いて、日光の当たる涼しい場所が適しています。

シクラメンは元々日光を好みますが、ただ、暑さと直射日光に弱いため11月から4月は、日当たりのよい室内でレースのカーテン越しで光を当てるようにするとよいでしょう。

夏場などの直射日光に当たると、葉焼けを起こしてしまいますので注意しましょう。

5月以降は、休眠させる場合は、日陰に、休眠させない場合は、半日陰、もしくは日陰の涼しい場所で管理します。

 

 

シクラメンの水やりについて

シクラメンを鉢植えで購入すると、底面給水鉢という鉢に植えてあることがあります。

これは、下の皿に水を入れ、中にある紐やスポンジを伝って適量の水が吸い上げられるという仕組みになっています。

シクラメンは冬に育ちますので、底面給水鉢の場合には、冬場は受け皿の水が途切れないように管理します。

底面吸水鉢以外の鉢で育てる場合には、土が乾いたら鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

上から水やりを行う場合には、傷んでしまう原因になるので、土から出ている球根部分には水がかからないようにしましょう。

葉や花にも、直接水がかからないように注意します。

また、乾燥している冬場には、葉水を行ってやるとよいでしょう。

 

 

シクラメンの花がら摘みについて

花が枯れたら、花茎の根本から摘み取るようにします。

摘み取る際には、ハサミなどの刃物は使わず手でねじりながら引き抜くようにします。

花だけでなく、葉も黄色く枯れてきたら株元からねじって摘み取るようにします。

そのままにしておくと、新しい花が咲いてきませんので、こまめに摘み取るようにしましょう。

 

 

 

シクラメンの葉組みについて

シクラメンは、月に1回程度を目安に「葉組み」を行ってやるようにしましょう。

葉組みとは、株の中心の葉を外側に引っ張って外側の葉にひっかけて、株の中心部分に花を集めてスペースを作ってやる作業のことをいいます。

そうすることにより、株の中心部分に日光が当たるようになり、小さなつぼみも生長し開花するようになります。

「葉組み」の詳しい方法については、ガーデンシクラメンのページで紹介していますので、参考にしてみてください。

温度管理以外は、シクラメンとガーデンシクラメンの管理は同じですので参考にしてみてください。

 

 

シクラメンの温度について

ガーデンシクラメンは、シクラメンの耐寒性の強いものを品種改良したものですので、戸外で管理できますが、シクラメンは寒さに弱い為、冬は室内で管理してやるようにします。

シクラメンの生育適温は、10~15℃と他の鉢花に比べて低い為、冬場の室内でも暖房の効いていない、1日の気温差のあまりない涼しい場所で管理してやるようにしましょう。

暖房のよく聞いた部屋に飾ると、花はちぢれ、葉も黄色くなってしまいます。

シクラメンは、日本の高温多湿の夏が苦手ですので、風通しのよい涼しい日陰で管理してやるようにしましょう。

夏の暑さを越し、涼しくなって夏越しに成功すると新芽が動き出しますので、そうなったら植え替えてやるようにしましょう。

 

 

 

シクラメンの病害虫について

梅雨時など湿度の高い時期に、灰色カビ病が発生しやすくなります。

花がらはこまめに取り除くようにし、病気の原因になることを防ぐようにしましょう。

暖かくなってくると、アブラムシやハダニが発生しやすくなります。

こまめに葉水をして発生を予防してやるようにし、発生してしまった場合には早めに薬剤を散布して防除するようにしましょう。

 

 

 

冬場には欠かせない、人気の鉢花のシクラメン。

赤い花びら上方が反り返って咲く、そのカラフルで大粒の花は美しいですよね。

あなたも、シクラメンを上手に育ててガーデニングを楽しんでみませんか?

 

 

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