トロピカルなイメージを代表する花、花期が実は長いハイビスカスの育て方

春夏見頃の花

南国を代表する花、実は花期は春から秋と実は長いハイビスカス

ハイビスカスは、アオイ科の非耐寒性常緑低木で、南国をイメージする代表的な植物ではないでしょうか。

熱帯花木の中でも人気の高いハイビスカスは、夏の花と思われがちですが実は、5~10月の春から秋までの長い期間に花が楽しめるということはご存じでしょうか。

華やかな美しい花が魅力のハイビスカスは、日本では一般的に鉢植えで楽しまれることが多いのですが、沖縄など霜が降りない暖かい地域では庭木としても育てられています。

熱帯性の植物のイメージから、暑さに強いように思われるかもしれませんが、特に大輪系の品種を中心に猛暑には弱いものが多くあります。

特に気温が35℃以上が続くような暑さは苦手で、真夏には花数が減ったり、花の大きさが小さくなることもあります。

ハイビスカスの花は、通常朝開くと夜には閉じて終わってしまう1日花になります。

しかし、最近は品種改良により1つの花が2~3日咲くものも出てきています。

ハイビスカスの元々の語源となっている ibiscos は古代ギリシャ語で、名付け親は紀元1世紀の植物学者ペタニウス・ディスコリデスといわれています。

しかしこの名は元々はタチアオイに与えられた名称でした。

ディスコリデスの記した書籍は、その後ラテン語やアラビア語などに翻訳されて ibiscos → hibiscos と表記されました。

そしてそれが巡り巡り、大航海時代を経てヨーロッパに世界各地より珍しい動植物が持ち帰られるようになった際、インドまたは中国から八重咲きの Hibiscos によく似た花が持ち込まれ、それを植物学者のリンネが学名として Hibiscos rosa-sinensis としたことが由来のようです。

ただし、この Hibiscus とディオスコリデスが ibiscos としたものは同じ属ではありますが違う植物になります。

和名では、仏桑花(ブッソウゲ)とも呼ばれおり、沖縄では「アカバナー」と呼ばれて親しまれ、地植えの庭木や街路樹として3m近くの高さまで育つこともあるそうです。

また、鑑賞以外にもハイビスカスは食用や繊維の原料とされており、ビタミンCやカリウムなどを含むため、疲労回復効果のあるハーブティーとして利用されています。

 

 

ハイビスカスの系統について

ハイビスカスは、一説では1万種ほどの種類があるといわれるほど多くの種類がありますが、大きくは3つの系統に分けることができます。

 

オールドタイプ

在来系とも呼ばれるオールドタイプは、一般的に広く流通しているタイプになります。

暑さや寒さに比較的強く、花付きがよいのが特徴です。

ただし、気温が30℃を超えると開花数が減ってきます。

花は中輪や小輪が多くなりますが、育てやすく環境によっては1年中花を楽しむこともできますので、初心者にはおすすめのタイプになります。

 

コーラルタイプ

コーラルタイプは原種に近い品種になります。

形や色がサンゴ礁に似ていることから、コーラル(サンゴ)の名がつけられています。

花びらのふちに切れ込みが入っているものが多く、垂れ下がるように花がつくのが特徴になります。

オールドタイプに比べるとやや小ぶりで、寒さには弱い傾向がありますが暑さには強く生育が旺盛がです。

ただし気温が30℃を超えるようになると花数が減ってきます。

 

ハワイアンタイプ

ハワイアンタイプは、その名の通りハワイでハワイ原種のハイビスカスとブッソウゲを交配したもので、大輪系とも呼ばれています。

もっとも品種が多いタイプになりますが、成長するのに時間がかかり、暑さや寒さに弱いものが多いため流通量は少なくなっています。

花形は丸みがあり大輪で豪華です。

花付きはあまりよくありませんが、オレンジや赤、青、紫など色彩に富み観賞価値の高い華やかなタイプになります。

開花は春や秋気候が穏やかな時期になります。

 

 

ハイビスカスの土について

水はけのよい土を好みます。

自作する場合には、赤玉土7、腐葉土3を混ぜたものを利用するようにするとよいでしょう。

それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

 

ハイビスカスの肥料について

春から秋の成長期だけに、緩効性肥料や油かすなどのゆっくり効く肥料を規定量よりやや多めに与えるようにします。

ただし、夏の暑さで生長が衰えている時には化成肥料を控え、やや薄めの液体肥料を与えて様子を見るようにします。

肥料が足りなくなると花付きが悪くなってしまいます。

 

 

 

ハイビスカスの植え付け、植え替えについて

苗を購入した際には、小さめの鉢に植え付けられていることが多いので、一回り大きな鉢に植え替えを行ってやるようにすると水管理が楽になります。

植え付けは、5~6月頃が適期になります。

ハイビスカスは生育が旺盛なため、鉢植えでは1~2年に1回は必ず植え替えるようにして根詰まりを防ぐようにしましょう。

適期は5~6月になります。

植え替えを怠ると生育が衰えるだけでなく、立ち枯れを起こす原因にもなります。

また根を切らず用土を足すだけの鉢増しなら、9月頃まで行うことができます。

 

 

 

 

ハイビスカスの日当たりについて

日光を好みますので、日当たりがよく風通しのよい場所で管理するようにします。

ただし、夏に株が弱っているときや、ハワイアン系の品種は半日陰へ移動させるようにするとよいでしょう。

 

 

 

ハイビスカスの水やりについて

春から秋は、鉢の土の表面が乾燥したら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

特によく開花している時には、水分の吸収が盛んになるため水切れには注意してやるようにしましょう。

冬は水は控えめにするようにします。

 

 

 

ハイビスカスの花がら摘みについて

ハイビスカスの花は、基本的には咲いたらその日のうちにしぼんでしまいます。

咲き終えた花はすぐに摘み取ってやるようにしましょう。

特に5~10月の生育期間は花がらをこまめに取り除いてやるようにします。

花がらを取り除くことで次の花や、翌年の花へ養分を回すことができ、株を充実させることができます。

 

 

 

 

ハイビスカスの剪定について

ハイビスカスは、花が咲き終わった10~11月頃に剪定を行うようにします。

全体を1/2~1/3程度切り詰め、親枝から生えている小枝を選び外目の数mm上あたりで切り落とすようにします。

ただしこの強剪定は、冬の間花を咲かせない場合の方法になります。

室内に取り込み、最低気温が12℃以上を保ち日光も十分に当てられる環境下では冬の間にも花を咲かせることが出来ますので、その場合には特に強剪定をする必要はありません。

成長期に強い剪定をしてしまうと長期間開花しなくなってしまいますので、注意するようにしましょう。

ただし夏に枝が込み合っている場合などは、伸びすぎた枝や調子の悪い枝だけ付け根から切り取って間引くようにします。

 

 

 

ハイビスカスの冬越しについて

南国の植物であるハイビスカスは、基本的には寒さに弱い性質がありますので、10月頃までには室内に取り込んでやるようにしましょう。

室内に取り込む前に、株の1/2~1/3程度まで刈り込む、冬越しの強剪定を行ってやるようにします。

真冬の寒さが厳しい時期の窓辺や夜間には、低温を防ぐように厚手のカーテンを引いてやったり室内の中央部など暖かい場所で管理してやるなど注意するようにしてやりましょう。

関東以西の霜の降りない地域では、寒さに弱いハイビスカスも冬越しできる場合があります。

なるべく耐寒性が高い品種を選び、風があまりあたらないひだまりのある場所などで管理し、マルチングなど防寒対策も施してやるようにするとよいでしょう。

 

 

ハイビスカスの挿し木、接ぎ木について

オールドタイプとハワイアンタイプは、4月中旬から6月頃、コーラルタイプは5~9月に枝を10cmほど切って挿し木をするようにします。

切り口を斜めに切り、水揚げを行ったと湿らせた土に挿します。

ハワイアンタイプは挿し木もできますが、成功率が低く性質が弱いものが多いため、丈夫な在来種に接ぎ木して増やす方法が一般的になっています。

 

 

 

ハイビスカスの温度について

南国のイメージから暑さには強い印象がありますが、35℃以上の猛暑は苦手で、花付きが悪くなります。

真夏には、半日陰などの涼しい場所で管理するようにしてやるとよいでしょう。

また、室内などで12℃以上の気温が保てるようにしてやると、冬の間も花を楽しむこともできます。

 

 

 

 

ハイビスカスの病害虫について

病気には比較的強いのですが、ハダニ、アブラムシやカイガラムシなどが発生しやすくなっています。

発見した際には、早めに薬剤を散布するなどして防除するようにしましょう。

 

 

 

 

熱帯性植物で夏の花のイメージのあるハイビスカスですが、実は真夏の猛暑は苦手で花数も減ってしまいます。

上手に真夏の暑さを防いでやり、上手にハイビスカスを育ててガーデニングを楽しんでみませんか?

 

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