ガーデニングビギナーさんでも育てやすい、早春の球根花スイセンの育て方

春夏見頃の花

清楚な美しい姿の早春の花、スイセン

スイセンは、「水仙」の日本語読みとなります。

「水仙」の名は、「仙人は、天にあるを天仙、地にあるを地仙、水にあるを水仙という」という中国の古典から命名されたとされています。

水辺に咲く美しい姿を仙人に例えたようです。

学名のNarcissus(ナルキッスス)は、ギリシア神話に登場する美少年「ナルキッソス」に由来しているといわれています。

ナルキッソスは、その美しさに多くの女性から言い寄られますが全くなびかず、いつも冷淡な態度をとっていました。

ナルキッソスに想いを寄せたアメイニアスは、ナルキッソスに冷たくあしらわれて絶望し、自ら命を絶ってしまいました。

また、森の妖精であったエーコーもナルキッソスに恋をしますが、相手にされず、悲しみと屈辱のあまり、やせ衰えてエーコーは声だけの存在になってしまいます。

これを知った女神メネシスは激怒し、ナルキッソスに自分だけしか愛せないという呪いをかけました。

それにより、彼は水鏡に映った自分の姿に恋をして、水を飲むのも忘れ、やがてやせ細り死んでしまいました。

その彼のいた所に咲いた花がスイセンの花でした。

またスイセンには、この他にも「雪中花」や「金盞銀台」の美しい名前も付けられています。

その美しい花から想像できないかもしれませんが、スイセンは有毒性の植物で、特に鱗茎(りんけい)という部分にリコリンなどの毒成分を多く含むといわれています。

スイセンの切り口からは粘り気のある液体がでますが、切り花などにする際には切り口をよく洗ってから扱うようにしましょう。

スイセンは全ての部位に毒がありますが、口にしなければ大丈夫です。

スイセンはその高貴な印象とは対照的に、育て方は簡単で、基本的には植えっぱなしでも元気に育ってくれますので、ガーデニングビギナーさんにもおすすめです。

 

 

 

スイセンの土について

水はけのよい土を好みます。

水はけの悪い土の場合、柔腐病が発生しやすくなってしまいます。

市販されている培養土か、自作する場合には赤玉土6、腐葉土3、川砂1を混ぜたものを使用します。

それぞれの土については、こちらで詳しく説明していますので参考にしてみてください。

 

 

スイセンの肥料について

植え付け時に、元肥として緩効性肥料を混ぜ込みます。

月に3~4回チッソ分の少ない液肥を水やりを兼ねて追肥します。

花が終わっても球根を肥大させるために、追肥と水やりは続けるようにします。

 

 

 

スイセンの球根、植え付けについて

夏の暑さが完全に去った秋、10~11月頃に植え付けを行うようにします。

植え付けた後は、屋外の寒さに十分に当てて管理するようにしましょう。

スイセンの球根に小さい球根がくっついている場合は、無理に取らずそのまま植え付けてやります。

大きく育てば自然にとれます。

球根を植え付ける際には、球根の2~3倍の覆土の深植えにするようにします。

浅植えにすると、花が小さくなってしまいます。

球根は、丸みを帯びた電球形のものを選ぶようにします。

ほっそりした球根は花芽がなく、開花率が低いので避けるようにします。

よい球根の見分け方については、こちらで紹介していますので参考にしてみてください。

基本的には植えっぱなしで大丈夫ですが、3~4年に一度、葉や茎が枯れる7~8月頃掘り上げて、風通しのよい日陰で乾燥して保管します。

掘り上げない年は水やりを控えて休眠させるようにします。

球根の保管については、こちらでも紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

スイセンの日当たりについて

日光を好みますので、日当たりのよい場所で管理するようにします。

開花まではよく日の当たる場所で管理し、開花後は西日と強い日が当たる場所では地温が上がり球根の肥大が悪くなってしまうので、遮光するなどして管理してやりましょう。

 

 

 

スイセンの水やりについて

土の表面が乾いてから、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

葉や茎が枯れる夏は休眠していますので、水やりを控えるようにします。

水やりのし過ぎは、球根が腐ってしまう原因になりますので注意しましょう。

 

 

スイセンの花がら摘みについて

日本スイセンは結実しませんが、そのほかのスイセンは丸い種子果を付けますので、早めに花がら摘みを行うようにします。

咲き終わった花は、花首から切り取るようにします。

球根を肥大させるために、必ず葉は残すようにしておきます。

葉が枯れるまでは、地温を上げないように適度に遮光して管理するようにすると、翌年の開花率が高まります。

 

 

スイセンの温度について

球根の植え付け適期は、10~11月です。

遅くなると地温が下がり、発根が悪くなってしまいます。

日本スイセンは、他のスイセンより花芽分化が2か月ほど早いので、8月に植え付け、地温が低くなるようにすると発芽が早まり、11月頃から開花します。

 

 

 

 

スイセンの病害虫について

スイセンの病気で一番注意したいのが、柔腐病です。

発病してしまうと、薬剤による防除は不可能です。

柔腐病は気温が高い時に発生し、朝は緑色だった葉が昼には灰緑色に変わってしまい、翌日には葉が倒れて1週間ほどで枯れてしまいます。

葉に縞模様の出るモザイク病が見られた場合は、発見次第取り除くようにします。

害虫は、4月に咲く花にアブラムシがつきますが、早めに見つけて殺虫剤を散布するようにすれば防除することができます。

アブラムシはモザイク病などを媒介しますので、早めの対策が重要です。

 

 

スイセンを寄せ植えで楽しむ

スイセンの美しい花姿を、単独で楽しむのもよいのですが、その他の球根花と「ダブルデッカー」や「トリプルデッカー」という方法で何層かに球根を植え付けて楽しむ方法があります。

この方法については、チューリップのところで紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

有毒植物である、スイセン

スイセンは、その全てに毒を持っている植物です。

葉がニラやノビルと似ていることから、よく誤食のニュースを耳にします。

取り扱いには、注意するようにしましょう。

 

 

 

 

美しい花姿のスイセン育てて、あなたも早春のガーデニングを楽しんでみませんか?

 

 

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