美人を形容する春の花、シャクヤクの育て方

春夏見頃の花

五月の誕生花、美しく存在感のある花、シャクヤク

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という言葉を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

シャクヤクは、すらりとした茎に、美しい花を5月~6月に咲かせることから、立ち姿の美しい女性に例えられていたようです。

また、シャクヤクはその名前に薬がついているように、古くから鎮痛剤などに用いられてきた生薬でもあります。

花名の由来は、抜きんでて見目麗しいという「芍」と、「薬」からきています。

シャクヤクは、一説には古いイギリスの民謡に、恥ずかしがりやの妖精がシャクヤクに隠れていたら、花も一緒に恥じらって赤く染まったというものから、花言葉は「恥じらい」「はにかみ」「謙虚」となったようです。

英語でシャクヤクは「Chinese peony」、ボタンは「Tree peony」になります。

単に「peony」となれば、シャクヤクまたはボタンのことを指します。

また、属名の「Paeonia(パエオニア)」は、ギリシア神話で神の傷を治したという医の神「Paeon(ペオン)」にちなみます。

シャクヤクとボタン、とても見た目が似ていますが、どちらもボタン科ボタン属の花です。

しかし、大きな違いはシャクヤクは「草」で、ボタンは「樹木」という点です。

シャクヤクは「宿根草」ですので、冬には根だけを残して全て枯れ、春にまた新芽を出しますが、ボタンは落葉低木ですので冬でも茎は残っており、春には茎から新芽が出てくるという違いがあります。

 

 

 

シャクヤクの土について

シャクヤクは、水はけがよく、水もちのよい土を好みます。

鉢植えでは、赤玉土4、鹿沼土4、腐葉土2を混ぜて使用します。

それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

シャクヤクの肥料について

花付きを良くするためには、十分に元肥を与えるようにします。

不足すると花が咲きにくくなってしまいます。

また、早春の芽出し肥、花後のお礼肥、翌年の花芽ができる秋にそれぞれ追肥を行ってやるようにします。

また、冬には寒肥を与えることも有効です。

 

 

シャクヤクの苗について

シャクヤクの苗の植え付けの適期は、9~10月です。

苗を選ぶ際には、新芽が数個はついているものを選ぶようにします。

苗の植え付けについては、こちらでも詳しくご紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

シャクヤクの日当たりについて

日光を好みますので、よく日に当てて管理してやるようにします。

ただし、夏の高温は苦手ですので、夏は西日を避けて風通しのよい場所で管理するようにしましょう。

 

 

 

 

シャクヤクの水やりについて

土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

10月頃より、根が育ち始めますので水切れを起こさないように注意します。

 

 

シャクヤクの植え替えについて

シャクヤクは、根が繊細なため植え替えを嫌いますが、鉢植えで管理している場合には、根がよく張るため3年程度で、一回り大きな鉢に植え替えを行ってやるようにするとよいでしょう。

植え替えは、9月~11月に行うようにします。

植え替え時には根を乾かさないようにし、植え付け直後はたっぷりと水をやるようにします。

 

 

 

シャクヤクの芽かきについて

シャクヤクは、芽かきを行うことによって、株の風通しがよくなり病害虫を防ぐ効果があります。

また、余分な芽を生長させないことで、栄養を集中させることができ、花付きをよくすることができます。

株が込み合ってきた時には、込み合った茎や蕾のない茎は間引いてやるようにしましょう。

 

 

 

シャクヤクの摘蕾について

シャクヤクの株が大きくなると、芽も増えてきますので、上でも紹介した芽かきを行います。

その上で、1本の茎には蕾が1つだけになるように、わきから出ている蕾は根本から切り取る、摘蕾を行ってやるようにします。

花期を長くしたい場合には、脇芽も半分程度残すと花を長く楽しむことができます。

鉢植えの場合、一株には蕾が3~5個程度に抑えておくと、美しい花を楽しむことができますので、参考にしてみてください。

 

 

 

 

シャクヤクの花がら摘み

シャクヤクの花を、咲いたままにしておくと、実をつけようとして株が弱ってしまいます。

咲き終わった花は、こまめに首元から摘み取るようにします。

もし、種を取りたい場合にはその分だけ花を残し、後は摘み取ってやるとよいでしょう。

 

 

 

 

シャクヤクの温度について

夏の高温が苦手ですので、冷涼地の方が栽培には適していますが、暖地でも十分栽培は可能です。

葉によく日が当たり、地表は陰になるような環境が理想的です。

夏の西日が当たるような場所は避けて、風通しのよい場所で管理してやるようにしましょう。

株元をしっかりマルチングしてやると、地表温の上昇と感想を防ぐことができます。

 

 

 

シャクヤクの株分けについて

シャクヤクは根を触られるのを嫌いますが、根詰まりを起こしてしまうので、3年度で植え替えをしてやるようにします。

その植え替えの際に、株分けをして増やすのが、シャクヤクを増やす方法としては一般的です。

株分けは、植え替えの適期である9~11月に行うようにします。

株分けは、根の周りの土を落とした後、それぞれの株に2つ以上の芽が付くように、根を切り分けます。

切り口から腐ってしまうことがあるので、切り取る際には清潔な刃物を使用するように注意しましょう。

また、切り口は殺菌剤や草木灰に浸して消毒するとよいでしょう。

 

 

シャクヤクの病害虫について

多湿な環境では、炭疽病、灰色カビ病、立枯れ病、うどんこ病などに罹りやすくなってしまいます。

水はけのよい、風通しのよい環境で管理するようにして病気を防いでやるようにっします。

高温多湿の環境では、アブラムシやヨトウムシ、ネコブセンチュウなどが発生しやすくなります。

発見した場合には、早めに殺虫剤を散布してやるようにします。

ただし、ネコブセンチュウは地中にいるため地上で殺虫剤を散布しても効果がありませんので、土壌環境を普段から良好に保つよう注意して予防しましょう。

 

 

シャクヤクを切り花で楽しむ際のポイント

シャクヤクを切り花で楽しむ際には、少しでも開いた花のものがおすすめです。

蕾から活ける場合には、蕾に触れてみてベタベタした蜜がもしついているようでしたら、洗って取ってやるようにしましょう。

水切りをする前に、水に蕾を入れてやさしく洗って蜜を取り除いてやると、花びら開きやすくなります。

もし、シャクヤクを花瓶で楽しむ場合には、ちょっと気にしてみてくださいね。

 

 

 

とても美しい、シャクヤクの花。

あなたも育てて、美しい春のシャクヤクの花を楽しんでみませんか?

 

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