雄大な花姿で気品ある、ちょっとしたコツを覚えると育てやすい、君子蘭の育て方

春夏見頃の花

強い日差しを避けて管理すると、高貴で雄大な花姿を楽しめる君子蘭

名前に「ラン」が付きますが、ラン科ではなくヒガンバナ科の植物になります。

クンシランと呼ばれるウケザキクンシランは、花茎40~50cm、15~20程の花をつけます。

雄大な花姿で気品があり、肉厚で光沢のある濃緑色の葉と、オレンジ色の花をつけるものが主流ですが、斑入りの葉のものや、黄花の品種も流通しています。

属名の学名Clivia(クリビア)は、19世紀に植物学発展のために援助をした英国クライヴ家出身のノーサンバーランド侯爵夫人を称え名づけられました。

和名の「君子蘭(クンシラン)」は、明治時代にクリビア・ノビリスという種が日本に渡来し、そのノビリス(高貴という意味)に因んで名づけられました。

また、君子とは学識、人格共に優れた人や高位の人を指す言葉です。

このクリビア・ノビリスは花を下向きに咲かせるので、現在では観賞価値が低いとされてあまり栽培されていません。

しかし、近縁種のクリビア・ミニアタが普及すると、これを君子蘭と呼ぶようになりました。

この品種はヨーロッパで園芸化され、ラッパのような形の花を10~20個ほど咲かせます。

原産地の南アフリカでは、湿った半日陰の場所で自生しているので、強い直射日光が当たらない場所で、過湿や霜に当たらないように管理するようにしましょう。

 

 

 

君子蘭の土について

水はけ、水もち共によい土を好みます。

自作する場合には、川砂4、赤玉土3、腐葉土3の割合で混ぜたものを使用するのが一般的ですが、赤玉土単体で育てることも可能です。

それぞれの土については、こちらで紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

君子蘭の肥料について

植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を混ぜてやるようにします。

春から秋にかけての生育期には、10日に1回程度を目安に液体肥料を与えるようにします。

ただし、高温になる真夏には肥料を与える必要はありません。

 

 

君子蘭の選び方について

花茎がしっかりと伸び、花付きがよく発色のよい、葉が整然として乱れていない、病害虫のないものを選ぶようにします。

 

 

 

君子蘭の日当たりについて

君子蘭は、明るい日陰を好みます。

強い日差しにあたると葉焼けを起こしますので、遮光するなどして日差しを遮るか、日陰で管理するようにしましょう。

2月から3月は日当たりのよい室内、4月から5月は室内の明るい日陰、6月から10月は戸外の明るい日陰、11月から1月は室内の明るい日陰が適しています。

花芽が伸びる2月から3月は、日に当てることで花色が冴えますが、春から秋は短時間でも直射日光に当てると葉焼けを起こすことがあるので注意が必要です。

ですが、暗すぎても花芽が付きにくくなりますので、真夏で50%程度の遮光とします。

特に斑入りの品種は葉焼けを起こしやすいので、注意しましょう。

開花時期には、涼しい場所で管理してやると長く花を楽しめます。

 

 

 

君子蘭の水やりについて

土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

株の上から水を掛けてしまうと、葉の間に水が溜まり柔腐病などの原因になりますので、株元から水やりを行うように注意しましょう。

 

 

君子蘭の植え付け、植え替えについて

君子蘭の植え付け、植え替えは4月から5月頃が適期となります。

2~3年毎に古い土と黒く傷んだ根をできるだけ取り除いて植え替えを行うようにします。

傷んだ根が目立たないようであれば、無理に根鉢を崩す必要はありません。

根が太くなじみにくいので、植え付けの際竹串などでつついて、しっかりと用土を入れ込んでやるようにしましょう。

 

 

 

君子蘭の株分けについて

君子蘭は、植え替えの際に株分けをして増やすことができます。

株分を行う際には、古い土を落とし、根を出している子株を清潔な刃物で切り取ります。

切り口には殺菌剤を塗ることと、株分を行う際には子株の葉の枚数が8枚を超えているようにするとよいでしょう。

 

 

 

君子蘭の種まきについて

君子蘭は、種まきでも増やすことができます。

実ができた翌年の春、3~4月頃に熟した実を収穫し中の種を取り出してよく洗います。

実は11月下旬から翌1月以内に採種し、実はついた状態でビニール袋などにいれて5~10℃の環境で保管しておきます。

撒き時は3~4月で、種まきの際には果肉と果皮をはぎ取り、水洗いをして種を取りだすようにします。

種には斑点があり、その斑点から発根する性質があります。

そのため、この部分を横向きにして種子を植えるように注意します。

種まきの土などに、種が隠れる程度の深さに覆土します。

1年ほどして葉が2~3枚になったら鉢に植え替えを行います。

開花までには4~5年ほどかかります。

 

 

 

君子蘭の花がら摘み、鉢回しについて

種を取らない場合は、5月頃早めに花を切り取るようにします。

君子蘭は、光の方向に葉を展開させますので、葉の伸びる方向を見て鉢を180度ずつ回転してやると平行にバランスよく葉を展開させてくれます。

鉢回しは、6月から10月にかけて行うようにします。

 

 

君子蘭の種類、品種について

君子蘭には高性広葉系、ダルマ系、斑入り系の3系統があります。

高性広葉系は鉢物として流通されている系統となり、幅が広く長い葉が立つように生える特徴があります。

ダルマ系は、花茎は他の系統と比べて長く丈夫なつくりになっています。

葉は肉厚で、幅広、そして短いという特徴があります。

また、葉は重なり合っており、左右に開きます。

花茎は他の系統と比較すると短く、生長速度のゆっくりになります。

斑入り系は、葉に淡黄色や白色の斑点が縞状に入っています。

 

 

 

君子蘭の温度について

真夏の暑さには弱いため、真夏は日陰で管理してやるようにします。

多少の低温には耐えることができますが、越冬温度は5~10℃となります。

君子蘭は、秋から冬に10℃以下の気温に約60日当たることで花芽が伸びます。

秋は霜の直前まで戸外で管理し、室内に取り込んだ後も5℃以上、10℃以下で管理うようにします。

暖かすぎると花が咲かないか、咲いても花茎が伸びませんので、24時間暖房の効いた部屋で管理するのは避けるようにしましょう。

 

 

 

君子蘭の病害虫について

過湿を嫌いますので、風通しのよい場所で管理するようにしましょう。

過湿な環境では、白絹病に罹りやすくなります。

また、水やりの際株の上から水を掛けて株の中心に水が溜まると、柔腐病に罹りやすくなります。

水やりの際には、株元からやさしく水やりを行うようにしましょう。

晴れた暑い日の夕方などは、葉水で涼しくしてやるのは構いません。

君子蘭の害虫として知られているのが、ナメクジです。

つぼみや葉、新芽や花びらなど、茎以外の全てを食べてしまいます。

葉の一部が食害を受けただけでも花の生長不良につながりますので、早めに見つけるようにしましょう。

ナメクジは土の中にいることが多いので、植え替えなどの際に土の中を点検したりするとよいでしょう。

 

 

 

その気品があり、高貴な花姿から鉢花としても人気の君子蘭。

直射日光を避けて涼しい場所で管理してやるようにすると、よく育ちます。

あなたも、そんな君子蘭を育ててガーデニングを楽しんでみませんか?

 

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