古くから日本に自生する山野草、日本原産の宿根草サクラソウ
サクラソウ(桜草)という名前は、「我が国は 草もさくらを 咲きにけり」と江戸時代の俳人、小林一茶の俳句にあるように、花の形がサクラ(桜)の花に似ていることが由来となっています。
サクラソウ科サクラソウ属の多年草で、学名はprimula sieboldii(プリムラ シーボルト)ですが、属名はprimula(プリムラ)となっています。
primos(最初)を語源としており、早春に他の花に先駆けて咲くことに因んでいます。
種名のsieboldiiは、日本植物の研究者シーボルトに由来します。
primla(プリムラ)は、サクラソウ科サクラソウ属の学名で、この属に含まれる植物の総称となります。
サクラソウ属は、ヒマラヤを中心にした北半球の高地や寒地に約550種分布し、朝鮮半島から中国東北部、シベリア、日本では四国、沖縄を除く各地の高原、原野に十数種が自生しています。
園芸上、サクラソウはニホンサクラソウを指すことが多く、セイヨウサクラソウという名前で流通しているものは日本原産のものはあまりありません。
自生地では、林間の湿性地や原野の草間に生え、ときに群生しています。
葉柄は長く、葉は長楕円形で皺が多く、縁に浅い切れ込みがあり、葉や茎に白い軟毛が生えています。
地中浅くに根茎があり、花は5弁、直径が2~3cm程で、花弁の先端に切れ込みがあり、基本は筒状となります。
サクラソウが日本で栽培されるようになったのは、鷹狩りに出た徳川家康が可憐なサクラソウの花を見つけ持ち帰り、鑑賞するようになったことが始まりといわれています。
サクラソウの土について
サクラソウの自生地は、川岸や山野などの湿った土壌となっており、乾燥に弱い特徴を持っています。
サクラソウの土は、水持ちと水はけのよい土が適しています。
自作する場合、鹿沼土7、軽石砂3または、赤玉土4、軽石砂4、腐葉土2の割合で混ぜるとよいでしょう。
それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。
サクラソウの肥料について
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を混ぜておくようにします。
芽が出て開花するまでは2週間から1か月に一度、液肥を与えるようにします。
サクラソウの苗について
春になるとサクラソウの鉢が園芸店で並ぶようになります。
苗の選び方についてはこちら、苗の植え付け方についてはこちらやこちらで詳しく説明していますので、良ければ参考にしてみてください。
サクラソウの植え替えについて
サクラソウは、冬に植え替えを行うようにします。
適期は10月~2月の間となります。
植え替えでは、鉢底に大きい軽石を通常よりも多めに入れ、水はけをよくするようにしてやります。
鉢から取り出したら、黒くなった古い根を取り除き、根についた古い土をよく洗い流すようにし、根は広げるようにして浅く入れます。
サクラソウの日当たりについて
鉢植えでは、2~5月までは日向で育てるようにします。
開花後地上部が黄ばんできたら、秋までは半日陰の涼しいところで管理するようにします。
梅雨時期に雨にあたると花が傷んでしまうことがありますので、雨に当てないように注意します。
サクラソウは、暑さと乾燥が苦手ですので、風通しがよく湿気のある半日陰の環境で管理するようにします。
サクラソウの水やりについて
サクラソウは、乾燥を苦手としますので、水切れを起こさないように注意しましょう。
特に、花が咲くまでの期間はずっと水を欲しがりますので、水やりをかかさないようにします。
夏の休眠期には、乾きも鈍くなってきますので水やりの回数は控えるようにします。
サクラソウは、宿根草で地上部が枯れると水やりを行うタイミングが分かりにくくなってしまいますので、周辺に他の植物を植えておくとわかりやすくなります。
サクラソウの花がら摘みについて
タネをとる目的がないようなら、傷みはじめた花は花茎ごと取り除くようにします。
サクラソウの増し土について
花が終わったら、根元に土を寄せて盛ってやるようにしましょう。
サクラソウは、毎年春になると新しい地茎を作ります。
その地茎をそのままにしておくと地表に一部露出した状態になってしまうことがあります。
乾燥しないよう、株元に土をかぶせる「増し土」をしてやるようにします。
地表に地茎が出ていなければ、増し土をする必要はありませんのでよく観察して判断するようにしましょう。
サクラソウの種まきについて
種まきの適期は、3月頃となります。
種の採種は6月頃となり、採取した種はとても小さく1mm程度になります。
種は湿らせた砂の中にいれて、乾燥させないように冷蔵庫などで保存するようにします。
種が甚だしく乾燥してしまうと発芽率が下がってしまいますので、保管する際の乾燥に注意する必要があります。
サクラソウの株分け、根伏せについて
サクラソウは、種まき以外にも株分けや根伏せで増やすことができます。
株分も根伏せでも、植え替えを行うときに同時に作業を行うようにします。
植えていた株を取り出して、古い土を根を傷めないように取り除き、黒くなっている根茎を切り取ると、株が自然に分かれてくれるので切断して植え付けてやるようにします。
根茎の切り口には、何も施さなくても傷んだりすることはありません。
根伏せでは、根(根茎ではない)が太めのきれいなものを選ぶようにします。
カッターやナイフで切り取って切り口が上になるようにし、かなり浅めに植え付けるようにします。
苗は小さく、開花まで2年程度は必要となります。
サクラソウの温度について
サクラソウの適温は、15~20℃になります。
種まきの場合、発芽の適温も同じ15~20℃になります。
サクラソウは耐寒性に優れていますが、耐暑性も高いのでそれなりに過酷な環境でも耐えてくれますが、湿り気味の環境を好みますので乾燥には注意するようにします。
サクラソウの病害虫について
サクラソウは、灰色カビ病にかかることがあります。
灰色カビ病は、低温で多湿な環境で発生しやすくなります。
葉や花に灰色になったカビの症状が出てきます。
病気にかかってしまった部分は回復しませんので、早めに切り取るようにします。
害虫としては、ハダニやアブラムシ、ヨトウムシ、ネコブセンチュウが発生することがあります。
ハダニや葉や土が乾燥していると発生しやすくなるので、霧吹きで葉水を行ったりうやりを怠らないようにして予防します。
アブラムシは、暖かくなると発生しやすくなります。
茎や葉、つぼみについて植物の汁を吸って株を弱らせてしまいますので、発見次第殺虫剤を散布するなどして防除するようにします。
ネコブセンチュウが発生した場合には、根の部分がこぶ状になります。
多く発生するとコブでいっぱいになってしまい、生育にも悪い影響が出てしまいます。
帰省した部分を取り除いてから、新しい土に植え替えてやるようにしましょう。
感染した鉢は煮沸消毒をするようにするとよいでしょう。
バストリア水和剤を用いると被害を低減させることが可能です。
古くから日本に自生する山野草で、日本原産の宿根草になるサクラソウ。
水切れを起こさないように管理しなければいけないので、そこがビギナーさんにとっては少し大変なところかもしれません。
でも、きちんとお世話をすれば美しい花を咲かせてくれるサクラソウ。
あなたもサクラソウを育てて、ガーデニングを楽しんでみませんか?
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