花の形が、糸を巻き付けて玉にした苧環(おだまき)に似ていることから名づけられた、オダマキ
花の形が独特で、糸を巻き付けて玉にした苧環(おだまき)に似ていることからこの和名がつけられました。
また、糸巻きに似ていることから「糸繰草(イトクリソウ)」の別名でも呼ばれています。
世界に約70種が知られているオダマキ属は、日本ではヤマオダマキ、ミヤマオダマキの2種が山地から高山にかけて分布しています。
一般に流通しているものは、セイヨウオダマキの改良品種で多彩な色や花姿を誇ります。
紫や赤などの花びらに見えるものは、実はガクで本当の花は内側の白い部分のとなります。
英語名ではColumbine(コランバイン)と呼ばれています。
このコランバインとは、ヨーロッパの道化芝居に登場する娘の名前でもあり、その娘が持つ杯に花姿が似ていることに因みます。
花言葉に「愚か」とありますが、これは道化役に由来しています。
日本では、静御前が詠んだ有名な歌の中に「オダマキ」が出てきます。
平家を壇の浦に追討した凱旋将軍、義経と恋仲だった静御前。
兄の不興を買い謀反人扱いとなった源義経は、京を追われ静御前と西国へ向かいますが、女人禁制の大峰に静御前は入れず義経と別れたところ、静御前だけが囚われてしまいます。
その時、静御前は義経の子を身ごもっていました。
囚われた静御前は、頼朝、北条政子の命令で鶴岡八幡宮の舞殿で鎌倉幕府を寿ぐ舞を舞うよう命じられます。
その舞を舞った際に詠んだ歌が、「吾妻鏡」にのせられています。
-吉野山 峰の白雪 ふみわけて 入りにし人の 跡ぞ恋しき-
「吉野山(静御前が義経と別れた場所)の峰の白雪を踏み分けて姿を隠していったあの人(義経)。その足あとを頼りに私もついて行きたかった。でも今は足あとが残っていた雪も消えてしまい、ただ恋しさが募るばかり」
そして
―しづやしづ 賤のをだまき くり返し 昔を今に なすよしもがな―
「しづやしづ」は3つの意味がかけられています。
まず「しづ」というのは、麻などで織られた乱れ模様の着物で、昔の布の織り方の一つになります。
それを作るために、糸巻が必要で、その糸巻を「おだまき」と呼びました。
「おだまき」は、糸を巻いたりほどいたりして使いますので、「繰り返す」や「糸」と一緒に歌ではよく使われます。
また「賤」という字も「しづ」と読み、木こりや物売りなど身分の低い人のことを指します。
静御前も白拍子という、男装の踊り子で「賤」の身分になります。
そして、彼女が義経から名を呼ばれるとき「静よ、なあ、静」と呼ばれていたという意味もあります。
下の句「昔を今になすよしもがな」で、今は遠い地に生き別れてしまった今、どうにかして「昔」の義経と共に暮らした幸せな頃に戻りたいと舞いました。
鎌倉幕府を寿ぐどころか、義経への恋慕をうたい上げた静御前は頼朝の怒りを買いますが、政子のとりなしによって静御前は助命されましたが、生まれてくる子は女であれば助けるが男であれば殺すと命じられてしまいます。
そして、生まれてきた子は不幸にも男子だったため、そのまま由比ヶ浜に流され殺されてしまうという、哀しい話が伝わっています。
オダマキの土について
水はけのよい、肥えた土を好みます。
市販の培養土でも大丈夫ですが、自作する場合は赤玉土7、腐葉土3を混ぜたものを使用するようにします。
それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。
オダマキの肥料について
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を混ぜておくようにします。
3月~9月は、週1回程度を目安に液肥を与えるようにします。
真夏の間は、普段より薄め(3000倍程度に薄めたもの)に与えるようにした方が無難です。
オダマキの苗の選び方
開花している苗は、3月頃から流通します。
下葉まで変色していない、しっかりとした株を選ぶようにします。
苗の選び方についてはこちら、苗の植え付ける際に気を付けた方がよいことなどをこちら、でも紹介していますので参考にしてみてください。
オダマキの種まきについて
植え付けの適期は、2~3月頃になります。
土は被せないように注意します。
根を傷つけないように鉢増ししながら育てると、2年後には開花が期待できます。
オダマキの仲間は交配しやすいので複数種のオダマキを栽培している場合は注意が必要です。
複数種栽培している場合、袋かけをして自分で交配するか、親株は隔離しておくとよいでしょう。
種を採取する際には、花後に熟して先端が開いた種を採取するようにしましょう。
取った種は夏場の暑さにやられてしまうことがあるので、冷蔵庫で保管しておくようにします。
オダマキの株分けについて
株分けは、植え替えの際に行うようにします。
古くなった根茎を、自然に分かれている部分で分けるようにします。
もしつながっていても、それぞれの芽に十分に根があるのならナイフなどで切り分けてもかまいません。
その場合、切り口には癒合剤や殺菌剤を塗って保護するようにするとよいでしょう。
オダマキの植え替えについて
毎年、または1年おき程度に植え替えを行うようにします。
適期は芽が出る直前の2~3月の上旬ころになります。
実生苗は、成長にあわせて時期を問わず植え替え(鉢増し)を行うようにします。
その際、太いゴボウ状の根は傷つけないように注意します。
オダマキの日当たりについて
午前中は日向、午後は明るい日陰になる場所で管理するようにします。
7~9月上旬の間は30~40%の遮光下に置いて葉焼けや高温障害を防ぐようにするとよいでしょう。
オダマキの水やりについて
鉢植えは、土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出る程度たっぷりを水やりを行うようにします。
オダマキの花がら摘みについて
種を取る目的がない場合は、大部分の花が咲き終わった段階で花茎を切り取るようにします。
どこで切っても問題ありませんが、根元の葉は光合成するために残すようにしましょう。
オダマキの温度について
オダマキは日当たりを好みますが、夏の強い日差しは苦手ですので遮光するなどしてやりましょう。
本来冷涼な環境で育つ植物ですので、風通しのよい涼しい場所で管理するようにしてやりましょう。
断熱効果のある発砲スチロールを下に敷くなどの工夫も有効です。
オダマキは、冬の寒さを感じることで開花する性質がありますので、冬場も外で育てるようにしましょう。
オダマキは落葉して越冬するので、特に冬越しの作業は必要ありません。
オダマキの病害虫について
葉の表面に粉がふいたように白っぽくなる、うどんこ病にかかることがあります。
被害が部分的にとどまっている場合には、葉を切って再生させれば大丈夫ですが、被害がひどい場合には全体的に薬剤を散布して対処するようにしましょう。
また害虫としては、ヨトウムシは、幼虫が夜に現れて葉やつぼみを食べつくしてしまいます。
5~7月、9~10月に発生しやすく、すぐに成虫になりどんどん卵を産み、増殖しますので、卵を見つけたら葉ごと取り除き、幼虫は見つけ次第薬剤で駆除するようにします。
ハダニは、気温が20℃以上で乾燥した環境で発生しやすくなります。
葉の裏に寄生して、植物の汁を吸い株を弱らせてしまいます。
少数しか発生していない場合はセロテープなどにはりつけて葉からはがすようにするとよいですが、大量発生してしまった場合は薬剤を散布して駆除するようにしましょう。
また、植物の葉や茎に針を刺して汁を吸う、アブラムシも発生することがあります。
アブラムシの排泄物はウイルスを呼び寄せたり、すす病を引き起こすことがありますので早めに薬剤を散布するなどして防除しましょう。
色とりどりの花を咲かせてくれ、種まきでも発芽率が高いオダマキ。
少し暑さに弱いので、その点を注意してあなたもオダマキを育てて、ガーデニングを楽しんでみませんか?
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