可憐で小さな花が愛らしいことから、ナデシコとも呼ばれるビギナーさんにもおすすめ、育てやすいナデシコ(ダイアンサス)
世界中に分布し、古くから品種改良が続けられ人々に愛されてきたナデシコ(ダイアンサス)。
その数は300種を超えるといわれており、カーネーションやカスミソウなどと並ぶナデシコ科ダイアンサス属の植物になります。
属名のまま、ダイアンサスと呼ばれることもあります。
学名のDianthus(ダイアンサス)は、Diosは全能の神ゼウスを指し、anthosが花を指しますので、「ゼウスの花」という意味があります。
日本に自生する品種もあり、万葉の歌人「山上憶良」が詠んだ歌が元になっているといわれる、秋の七草のひとつとして古くから親しまれています。
寒さに強く、丈夫で育てやすくとても可憐な花を咲かせます。
このことから、強く美しい女性の代名詞としてナデシコの名が使われることもあります。
ナデシコを撫子と書くのは、花が小さく愛らしいことから、可愛らしい、愛しい子供を撫でて慈しむように花を撫でることから「撫でし子」と名付けられたそうです。
もともと日本には「河原なでしこ」と呼ばれる品種がありましたが、後に中国から渡来した「石竹(せきちく)」と呼ばれるナデシコの品種と区別するためこの「石竹」を「唐(から)なでしこ」と呼ぶようになり、「河原なでしこ」は「大和なでしこ」と呼ばれるようになりました。
その他にも、ナデシコの別名には「常夏(とこなつ)」というものもあり、夏がずっと続くという夏から秋の長い期間に花を咲かせるナデシコの特徴から名づけられたそうです。
ナデシコは、英名ではPink(ピンク)ですが、実は私たちが現在「ピンク」と呼ぶ色は元々はこのナデシコの花色を指します。
またピンク色のことを、日本では桃色ともいいますが、これは桃の花の色から名づけられた色になり、ピンクと桃色は厳密にいうと違う色になります。
鉢植えでも花壇でも手軽に楽しめるため、ガーデニングビギナーの方にもおすすめの植物になります。
ナデシコ(ダイアンサス)の土について
水はけのよい土を好みます。
多湿を苦手とし、乾燥には強い性質がありますので、傾斜地、石垣の上など乾きやすい環境でも育つことができます。
市販の培養土でも大丈夫ですが、自作する場合には、赤玉土7、腐葉土3の基本用土に山砂や鹿沼土を3割ほど混ぜたものを使うようにするとよいでしょう。
それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。
ナデシコ(ダイアンサス)の肥料について
真夏と真冬を除き、成長期に月1回程度の置き肥をするか、月3回程度を目安に液体肥料を与えるようにします。
四季咲き性の品種は肥料が切れると花付きが悪くなりますので、やや多めに肥料を与えるようにするとよいでしょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の植え付け、植え替えについて
植え付ける際には、秋に購入した小苗の場合には早めに植え付けて大きく根をはらすようにします。
そうすると翌年の花付きが良くなります。
苗を購入する際には、なるべく新芽の多くついているしっかりとしたものを選ぶようにします。
苗の選び方についてはこちら、苗の植え付けについてはこちらでも詳しく説明していますので参考にしてみてください。
ナデシコは生長が早いため、根が回ってきたら植え替えを行ってやるようにしましょう。
植え替えの適期は、春か秋の陽気の良い時に行うとよいでしょう。
ただし、1年草タイプのものは枯れてしまいますので植え替えの必要はありません。
ナデシコ(ダイアンサス)の種まきについて
ナデシコはこぼれ種でも増えることがありますので、種まきで増やすのが一番簡単ですが、実る品種と実らない品種があります。
種が実る品種は、寒冷地では春(4~6月)、暖地では秋(9~10月)にまきます。
セルトレイや育苗箱などに種をまき、土を2mmほど覆土します。
土は芽が出るまでは乾燥しないようにし、置き場所は半日陰で管理するようにします。
本葉が2枚ほどでてきたらポット上げをするようにします。
種まきの土や鉢についてはこちら、種まきの発芽率をあげるにはこちらで詳しく説明していますので参考にしてみてください。
ナデシコ(ダイアンサス)の日当たりについて
日当たりを好みますので、日当たりのよい風通しのよい環境で管理するようにします。
少なくとも半日以上は日光がよく当たる場所で、蒸れないように風通しを良くしておくようにします。
ナデシコ(ダイアンサス)の水やりについて
過湿を苦手とし、乾燥には比較的強いのですが、生育、開花には十分な水分が必要です。
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。
葉幅が広く、質が薄く柔らかい品種では乾燥させると下葉が枯れあがりやすいものもありますので、注意が必要です。
ナデシコ(ダイアンサス)の花がら摘みについて
花が終わったらこまめに摘み取るようにしましょう。
そのままにしておくと、種を作るために株が弱ってしまいます。
ナデシコ(ダイアンサス)の摘心、切り戻しについて
ナデシコは、摘心をすることで脇芽を増やし花数を多くすることができます。
新芽が少なくなってきたら、清潔な刃物で2節ほど摘心してやるようにします。
また、蒸れを苦手とするナデシコは、梅雨の時期に夏に備えて蒸れないように株の半分程度を目安に切り戻しを行うようにしてやるとよいでしょう。
草丈が高いものは、花が終わったら順次株元近くで茎を切るようにします。
草丈の低いものは、半分ほどまで切り戻します。
ただし、マット状にこんもりと茂る品種は切り戻しを行う必要はありませんので、品種ごとの特徴を確認して管理するようにしましょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の挿し芽、株分について
ナデシコは、挿し芽と株分けでも増やすことができます。
挿し芽の適期は、4~6月、9~10月になります。
3節ほどの長さの挿し穂を作り、水揚をして湿らせた土に挿します。
2~3週間ほどで根が成長したら、鉢上げをしてやるようにします。
株分けをする場合には、芽吹きがよく元気のよい株が適しています。
適期は9月中旬から下旬が適しており、株分けする際にはそれぞれの株に2~3個の芽がつくように分けてやるとよいでしょう。
ナデシコの花は、いずれの品種でも株が老化してくると花付きが悪くなってきます。
そのため、2~3年に1回の頻度で種をとるか、挿し芽をするなどして株を更新するようにしてやりましょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の温度について
耐寒性が高く乾燥にも強いので、傾斜地や石垣などでも育つことができます。
ただし、高温期の多湿には弱いため、夏は風通しのよい涼しい場所で管理し、株を切り戻しするなどして蒸れを防いでやるようにしましょう。
ナデシコ(ダイアンサス)の病害虫について
乾燥には強いでのですが、過湿を嫌います。
株が蒸れるなど過湿な環境では、灰色カビ病やさび病などに罹りやすくなりますので風通しのよい環境で管理するようにしましょう。
高温多湿の夏前に、株を切り戻しして蒸れないようにすると病気の予防になります。
またアブラムシの被害にあるいこともあります。
生育期に発生し株の栄養を吸って弱らせてしまうので、見つけ次第薬剤を散布するなどして防除するようにします。
強く美しい女性の代名詞としてもつかわれることもある「ナデシコ(ダイアンサス)」。
鉢植えでも花壇でも手軽に楽しむことができ、丈夫で育てやすいのでビギナーさんにもおすすめの植物です。
あなたもナデシコ(ダイアンサス)を育てて、ガーデニングを楽しんでみませんか?
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