蝶のような豪華な花が贈り物としても人気の胡蝶蘭の育て方

お祝いの贈答品として人気の高い、豪華な花が長く咲き続けてくれる胡蝶蘭

胡蝶蘭といえば、開業祝い、移転祝い、昇進祝い、引っ越し祝いなど様々なお祝いのシチュエーションで贈られることの多い人気の植物です。

室内に置くと、その花姿は蝶のように美しく優雅で、豪華な印象を与えてくれます。

長期に渡り花が咲き続ける胡蝶蘭は、熱帯のジャングルの高い木に着生して生育する着生植物になります。

管理は、原産地の環境に近づけることが長持ちさせるポイントになります。

元々木陰になる場所で育つ植物ですので、直射日光は苦手で葉焼けをおこしてしまいますので、窓際などのレースのカーテン越しの光が当たる場所で管理するようにしましょう。

寒さ、暑さに弱く、夜間は15℃程度、日中は25℃程度がベストになります。

可能な限り20℃前後の温度を保つことが理想になりますので、基本的には温度管理のしやすい室内で管理するのが長持ちさせるポイントになります。

原産地が高温多湿な環境ですので、暖かい多湿な環境を好みますが、着生植物の為木に絡ませて株を支えている根はむき出しのままで、水を吸収する機能はあまり発達しておらず、水やりをし過ぎるとすぐに根腐れを起こしてしまいますので、頻繁に水やりをする必要はありません。

胡蝶蘭の正式学名はPhalaenopsis Aphrodite(ファレノプシス アフロディーテ)といい、ギリシャ語でphalaina(ファライナ)は、「蛾」を意味し、opsis(オプシス)は、「~のような」を意味します。

花弁が羽を開いている蛾のように見えることから名づけられました。

日本ではどちらかというと嫌われている「蛾」ですが、海外では「蛾」と「蝶」を区別することがあまりなく、蛾の模様がグロテスクと感じることがないようで、むしろ華やかだとみられる風潮もあるようです。

学名のAphrodite(アフロディーテ)は、ギリシャ神話に登場する愛と美を象徴する女神であるアフロディーテから名づけられました。

アフロディーテは、ローマ神話では「女神 ヴィーナス」とも呼ばれています。

また、日本で呼ばれている「胡蝶蘭」という名前は、日本に胡蝶蘭が伝来してきた明治時代に名づけられました。

正式学名にある「蛾」ではイメージが悪いため、「蝶」という文字を取り入れ「胡蝶蘭」という名にしたようです。

また「胡蝶」とは、蝶を題材にした平安時代の舞楽で、源氏物語にも登場する蝶の別名になります。

「胡」には、「垂れ下がったあご髭」という意味もあり、花茎がまるで垂れ下がって細く伸びた先に蝶が止まっているように見えることから名に付けられました。

見た目も豪華で高価な胡蝶蘭は、とても育てるのが難しそうに感じるかもしれませんが、水やりの頻度も少なくあまり手を掛けずに長く花を咲かせてくれるので、色々とお世話をする人より放ったらかしのずぼらさんの方が実は育てるのに向いているのかもしれません。

 

 

胡蝶蘭の植え込み材について

胡蝶蘭は、木に絡まって育つ着生植物のため、一般的な植物のように土に植えてしまうと根腐れを起こして枯れてしまいます。

昔からよく用いられる植え込み材は、水ゴケですが、最近はバークを利用することも増えています。

基本的には、元々使われていた植え込み材と同じものを利用するようにするのが一般的です。

 

 

 

胡蝶蘭のラッピングについて

贈答品の胡蝶蘭は、ほとんどの場合美しいラッピングが施されていると思います。

見た目には華やかできれいなのですが、胡蝶蘭にとっては株が蒸れ、ラッピングのままの環境は向いていません。

ちょっと惜しいと感じるかもしれませんが、胡蝶蘭のためを思えばラッピングは早めに取り除いて管理するようにしてやりましょう。

 

 

 

 

胡蝶蘭の肥料について

胡蝶蘭はそれほど多くの肥料を必要とはしません。

また花が咲いている間と、冬の間は一切肥料は与えないようにします。

植え替えの際に、根に直接触れないように鉢底の方に元肥として緩効性肥料を混ぜるようにするとよいでしょう。

春、夏は液肥を10日に1回程度、秋は置き肥は与えず徐々に液肥を与える回数も減らしていき冬には一切与えないようにします。

高価な胡蝶蘭ですから置き肥や液肥などは、ホームセンターなどで蘭専用のものが販売されていますのでそちらを利用するのもよいでしょう。

 

 

胡蝶蘭の植え替えについて

特に贈答用の胡蝶蘭は、化粧鉢に寄せ植えにされていることがほとんどです。

花が終わったら花茎を切り取り、一株ずつに分けて植え替えてやるようにしましょう。

胡蝶蘭の日常管理は1株ずつ分けて植え付けるのが一般的ですので、決して寄せ植えしたまま置いておくようなことはしないようにしましょう。

植え替えの適期は、花が終わった後6月頃までになります。

基本的には、元々使用されていた植え込み材と同じもので植え替えを行うようにしましょう。

特に水苔は、昔からよく利用されており栽培方法が確立しています。

また近年よく利用されるようになったバークは、元々の原産地である樹上とよく似た環境になることから管理がしやすいことでよく利用されるようになっています。

植え替えを行う際は、まず花茎を切り取るようにし、その際には刃物はよく消毒を行ってから使用するようにします。

贈答品の場合はビニールポットに入っていることが多いと思いますが、そのポットから根を傷めないように取り出し、古くなった植え込み材を取り除き、干からびたり黒くなって腐ってしまった根を取り除き、水ゴケなら硬く丸めた水ゴケの周りに根を広げ、その根の周りに薄く水苔を巻き付けて素焼きの鉢に植え付けるようにします。

保水性のよい水ゴケは水はけをよくするために、必ず素焼きの鉢に1株ずつ植え付けるようにします。

バークの場合には、水はけがとても良いので逆に水の蒸発しにくいプラスチック製の鉢に植え付けるようにします。

もし、病気などで株が弱っている場合には、発見次第植え替えを行うようにし、殺菌剤などを使用してやるようにしましょう。

株が弱り葉がしなびてしまっている場合には、葉水を行い透明のビニール袋に空気穴をあけて夜の間入れて水分の蒸発を防ぐようにすると復活する場合があります。

植え替えた後は、最低でも1週間は水を与えず傷口から菌が入るのを防ぐようにします。

また乾燥した状態で根を伸ばさせるという意味もあります。

肥料は最低1カ月は与えないようにしましょう。

 

 

 

胡蝶蘭の日当たりについて

胡蝶蘭は、元々樹上で着生している植物ですので、直射日光が苦手です。

窓際でレースのカーテン越しの光が最適です。

決して直射日光に当てるようなことはしないようにしましょう。

葉焼けして最悪は枯れてしまうこともあります。

 

 

 

胡蝶蘭の水やりについて

胡蝶蘭の原産地は、熱帯雨林になります。

気温が高く湿度も高い、時にはスコールが降るような場所です。

水やりは基本的には乾燥気味に管理するようにします。

植え込み材の表面が乾燥してから水やりは行うようにします。

乾燥が気になる時には水やりを増やすというよりは、葉水を行って乾燥を防ぐようにすると根腐れを防ぎ株の健康を損ねずにすみます。

水やりや葉水を行った際に、葉の根元に水が溜まったままにならないように注意します。

水が溜まったままにしておくと、葉が腐ってしまう軟腐病などにかかりやすくなってしまいます。

水やりを行う際には、鉢底から水が流れ出る程度行うようにします。

春、夏は液肥を水やりの際一緒に10日に1回程度、秋は置き肥は与えず徐々に液肥を与える回数も減らしていき冬には一切与えないようにします。

水やりの後受け皿に水を溜めたままにしないようにしましょう。根腐れを起こしてしまいます。

 

 

 

胡蝶蘭の花がら摘みについて

胡蝶蘭は2ヶ月以上もの長い間開花してくれます。

花が咲いている間は、肥料は一切与えないようにし、水やりも乾燥気味に管理し、葉水を行う際には花には水がかからないように注意しましょう。

花が傷んでしまいます。

また、花は触ってしまったり、風に直接当たると花の傷みが早くなってしまいますので注意しましょう。

花が枯れてきたら、枯れた花を1つ1つ取り除き、花茎についた花が終わった際には花茎をそのまま残すのではなく、きちんと切り取ってやるようにします。

花茎を切る際には、刃物はきちんと消毒を行い、1度咲いた花茎から花が咲くことは二度とないので根元から切り取るようにします。

根元から2節上のところで切り取ると、再度花茎が伸びて2番花を楽しむことができることがあります。

ただし、2番花を咲かせると株の消耗が進むのでその点は覚悟して咲かせるなら挑戦してください。

 

 

 

 

胡蝶蘭の葉割れについて

特に家庭で管理している胡蝶蘭には、乾燥などから徐々に葉が割れてしまう葉割れという症状が出ることがあります。

割れた葉をそのまま放っておくと、徐々に割れは広がっていき見た目もよくありませんし、傷口から菌が入って病気になってしまうこともあります。

ちょっと乱暴に感じるかもしれませんが、葉割れを起こした際には、割れた所を瞬間接着材を使ってくっつけてやるようにするとよいでしょう。

見た目も改善しますし、傷口から菌が侵入するのを防ぐことができます。

 

 

 

胡蝶蘭の花芽について

胡蝶蘭を来年も咲かせたいと思うなら、花が終わったら必ず花茎は根元から切り取るようにしましょう。

花茎をしっかりと切ることで、株がしっかりと栄養を蓄えられるようになります。

胡蝶蘭の花芽を付けるには、少し低温にさらす必要があります。

花芽を出す適温は18℃前後になります。

気温が18℃程度に下がる秋口などに戸外で寒さにさらして、花芽を付けさせてから気温が下がってきたらまた室内に取り込むようにしてやりましょう。

花芽が伸びてきたら、花茎が折れないように注意して支柱で支えてやるようにしましょう。

 

 

 

胡蝶蘭の病害虫について

胡蝶蘭は、蒸れを嫌いますので、直射日光の当たらない風通しのよい場所で管理してやるようにしましょう。

特に水やりの際に、葉の根元の部分などに水が溜まったままにしていると病気になってしまうことがあります。

もし、葉の根元のに水が溜まってしまった場合はきちんとふき取ってやるようにしましょう。

葉が細菌やカビに侵されると、葉が黄色く半透明になって独特の異臭を放ち、腐ってしまうことがあります。

これは「軟腐病」で、殺菌剤などを散布して治療しますが進行が早いため助けられないことが多いです。

病変している部分をみつけたら、その部分から5mmほど余分に切り落とし周辺にペースト状にといた殺菌剤(ビスダイセン、Mダイファーなど)を塗ってやりましょう。

いずれの場合も、触れた器具などから他の場所へ感染するので使用した器具は消毒を行い、株自体も健康な株からは離して管理するようにしましょう。

胡蝶蘭の葉に黒い斑点が発生している場合には、「炭そ病」の疑いがあります。

最初は淡褐色の小さな斑点なのですが、徐々に大きくなり色が茶褐色や黒褐色へと濃くなっていきます。

原因はカビ胞子の飛散によるものので、葉焼けなどで葉の組織が弱ると糸状の病原菌が広がり始め感染します。

こちらも病変部分を見つけたら、5mm程度余分に切り取るようにしましょう。

害虫としてはハダニ、カイガラムシなどが発生することがあります。

発見した場合には殺虫剤などを散布して防除するようにしましょう。

ただし、カイガラムシは殺虫剤は幼虫の時にしか効き目がないので、ピンセットで取り除いたり強い流水を株元に当てるなどして取り除いてやるようにするとよいでしょう。

 

 

健康な胡蝶蘭とは

贈答品などで頂いた胡蝶蘭は、とても高価なものですので花が終わった後もそのまま上手に育ててみたいと思いますよね。

胡蝶蘭は上手に管理すると寿命は50年ほどもあるとか。

健康な株は、葉が濃い緑色で厚く生き生きとして、元気に葉がピンと立っていること。

充実した株は葉の数が多く、5枚以上葉があるようならとても充実した証拠、きれいな花を咲かせられる株に育っています。

葉が黄色くなっているときは要注意のサインです。

一番下側の葉だけが黄色くなりシワシワになってきた場合は、その葉の寿命ですので心配はいりません。

シワシワになってきていても、葉に残った栄養分を株が吸収するまではそのままにしておき、葉を触ってぽろりととれるようになったらやさしく取り除いてやるようにしましょう。

逆に真ん中の葉などが黄色くなったり、ブヨブヨとなってきていたら病気のサインですので、病変部分を切り取り殺菌剤などを塗布してやるようにしましょう。

 

 

 

 

豪華で高価な胡蝶蘭は、育てるのが難しいように感じるかもしれません。

しかしきちんと胡蝶蘭の特徴を理解して、胡蝶蘭の好む環境を整えてやるとそれほど手間がかからないため、枯らすことなく育てることができますよ。

あなたも胡蝶蘭を育てて、豪華な花を楽しんでみませんか?

 

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