種類も豊富で人気の初夏の球根花、ダリア
ダリアは江戸時代、オランダ人が日本に普及させたといわれています。
その花姿がボタンに似ていることから、「天竺牡丹」と呼ばれ、当初はインドからきた花と思われていた為、インドを意味する天竺とつけられたようです。
ダリアという名前の由来は、スウェーデンの植物学者アンデシュ・ダールを記念して命名されたといわれています。
また、ダリアはかの有名なナポレオン・ボナパルトの妻、ジョセフィーヌがこよなく愛した花としても有名です。
その当時、まだ珍しかったダリアを自慢するため、パーティーを開き貴婦人たちに見せびらかしていたそうです。
ある時、ダリアを見が貴族が一輪欲しがったのですが、これをジョセフィーヌは断り、断られた貴族は激怒したそうです。
そして、ジョセフィーヌの庭を管理する庭師にダリアの球根を盗ませるという事件が起こりました。
結果、その貴族の庭にはダリアが多く咲き乱れるようになりましたが、それを知ったジョセフィーヌは実行犯である庭師を解雇すると共に、加担した貴族をも追放したという話から、ダリアの花ことばに「裏切り」などがついたといわれています。
また上流階級の間で流行したことから「華麗」「優雅」といった、裏切りとは正反対の意味を持つ花ことばもあるそうです。
ダリアの花色や形の豊富さは、多くの花の中でもトップクラスといわれています。
品種は、なんと数万種もあるといわれており、切り花としてもとても人気で、ガーデニングビギナーさんでも育てやすい花です。
ダリアの土について
ダリアは、水はけと水もちのよい、よく肥えた土を好みます。
市販の培養土を使用してもよいですし、自作する場合は、赤玉土7、腐葉土3の割合、または赤玉土6、腐葉土3、パーライト1の割合で混ぜて使用します。
それぞれの土については、こちらでも紹介していますので参考にしてみてください。
ダリアの肥料について
植え付けの際に、元肥として緩効性肥料を混ぜるようにします。
元肥の他に、月に3回程度液体肥料を与えるようにします。
ダリアの球根について
ダリアの球根植え付けの適期は、桜の花が咲く頃が目安となります。
日光を好むので日当たりがよく、風通しのよい場所に植え付けるようにします。
植え付けは、大柄になる大輪種では株間60cm深さ10cmに1球、中小輪種は株間40cm深さ5cmに1球の間隔で植え、同時に支柱を立ててマルチングするようにします。
ダリアの球根を選ぶ場合には、どんなに大きくても芽がないものは全く発芽しませんので、大小に関わらず必ず芽のあるものを選ぶようにします。
ダリアの球根の発芽点は、球根の胴体ではなく、茎の基部(球と茎の間)部分です。
植える際には、細い首のようになっている発芽点を上向きになるように植え付けます。
花が終わり株が枯れあがったら、東京以北など土が凍ってしまう場所では掘り上げて凍らない場所で越冬させるようにします。
東京以南の暖かい場所では、地上部を切り取った後地面をマルチングするなどして防寒してやると、土が凍らず土中で越冬させることができます。
球根を分球する場合には、発芽点があるものを、付け根の茎を付けた状態で、清潔な刃物で切り離してやるようにします。
球根と茎の間の膨らんだ部分をクラウンといいます。
ダリアの芽は、このクラウンから出ます。
分球は球を基準に分けるというよりは、発芽点を基準にして、発芽点がなるべくクラウンの中央部分にくるように分けることがポイントとなり、分球の適期は、3月下旬頃です。
分球した球根は、軽く湿らせたバーミキュライトをビニール袋などに空気穴などをあけて、10℃前後の冷暗所で保存するようにします。
ダリアの種まきについて
ダリアは基本的には春植え球根植物ですが、一年草のように種から育てられるミニタイプの品種(実生ダリア)が多数あります。
発芽適温は20℃ですので、暖かくなった4月中旬から下旬頃が種まきの適期となります。
ダリアの種類について
ダリアは、花色や花形など豊富で、種類は3万種以上に及ぶともいわれています。
ダリアは、花の大きさで分けても6種類(超巨大輪30cm以上、巨大輪26~30cm、大輪20~26cm、中輪10~20cm、小輪3~10cm、極小輪3cm以下)に分けられます。
草丈も超高性の150cm以上あるものから、矮性の50cm以下のものまで、栽培場所に合わせて選ぶことができます。
また、花の形は10種類以上にもなります。
ダリアの咲き方の中では、最も一般的な平たい花弁が一重に咲くシングル咲き。
一重の花弁が内側に丸まって半管状になる、オーキッド咲き。
一重咲きですが、内側に小さな花弁(副弁)があり、外側の花弁と、内側の花弁の色が異なり印象的な、コラレット咲き。
花の中心部分が大きく発達し、丁字先になり、一重咲きと八重咲の種類がある、アネモネ咲き。
八重咲きで幅広の花弁が大きく波打ち、中心におしべが見える特徴のある、ピオニー咲き。
八重咲きの花が球形にまとまり、花弁は丸く管状になっています。花径5cm以下のものをポンポン咲き、5cm以上のものをポール咲きと呼ばれています。
平たい同じ大きさの花弁が幾重にも並ぶ八重咲きを、デコラティブ咲き。
細長い花弁が外側や内側に巻き、先がとがった形で咲く、カクタス咲き。
幅広の花弁で、他の咲き方より丸みを帯び、睡蓮の花を思わせる、スイレン咲きなど、その種類は本当に多岐にわたりますので、好みのものを見つけるのも楽しいのではないでしょうか?
ダリアの日当たりについて
日光を好みますので、日当たりがよく、風通しのよい場所で管理するようにします。
日光が不足すると、株が徒長したり、花数が少なくなったりします。
ダリアの水やりについて
ダリアの熱帯高地原産の植物ですので、乾燥には比較的強く、過湿を嫌います。
土の表面が乾いたら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。
ダリアの摘心、仕立て方について
発芽後3~4週間すると芽がでてきますが、2~3本出たときに太くて元気の良い芽を残し、他はかきとるようにします。
草丈が30cm程度になったら、支柱に誘引してやります。
ダリアの仕立て方は、巨大~大輪種と小~中小輪種では仕立て方が異なります。
摘心する時期は、5~6節に伸びたとき、大輪種は下2節の芽を残しそれ以上の節の脇芽はかきとって、天花1花のみを咲かせるようにします。(天花仕立て)
中小輪種は、下から3節を残してそれ以上は摘心するようにすると、下3節の脇芽が発達して、5~6本の茎立ちとなります。(摘心仕立て)
ダリアの切り戻しについて
ダリアは、梅雨が明けると暑さで株が弱ってきますので、秋に花を咲かせるために7月下旬から8月上旬に下から3~4節を残し、その上は切断するようにします。
ダリアの茎は空洞で、切り口に雨水が入ると腐る原因になりますので、乾燥させてからアルミホイルを巻くなどして防ぐようにします。
3~4週間程度で脇芽が動き始めますので、それぞれに応じた仕立て方をするようにすると、10月頃から霜が降りるまで咲き続けてくれます。
ダリアの挿し木について
ダリアは挿し木でも増やすことができ、適期は6月頃となります。
剪定などの際に出た茎を利用するとよいでしょう。
挿し木に利用するのは、脇芽のついた茎を「挿し穂」として利用するようにしましょう。
挿し穂の切り口は、清潔でよく切れる刃物を利用し、切り口は1時間程度水につけるようにします。
茎についた葉や芽のうち、土に埋める際埋まってしまう部分は切り取り、上の方の葉も枚数が多い場合は切り取り、脇芽も忘れずかきとるようにします。
湿らせたバーミキュライトなどに挿し、日陰で2週間程度土を乾燥しないように管理し、徐々に半日陰から西日の当たらない日向に移して管理するようにします。
ダリアの温度について
原産地はメキシコからグアテマラにかけての高地ですので、性質上冷涼な気候を好みます。
高温多湿を嫌いますので、なるべく原産地に似た期間が長くなるように管理してやりましょう。
特に30℃を超える季節の直射日光や強い西日、コンクリートの照り返しなどは避けるようにします。
また、球根は暖かい場所に置いて芽吹かせ、その上をビニールなどで覆って保温すると早く芽が出て、長期間花を咲かせることができます。
ダリアの病害虫について
過湿を嫌いますので、風通しのよい場所で管理するようにします。
過湿な場所では、うどんこ病や灰色カビ病、ウイルス病などが発生しやすくなります。
見つけた場合には、早めに薬剤を散布するなどして防ぐようにします。
花色に異常が生じるウイルス病は回復しませんので、他の株に感染するのを防ぐため早めに処分するようにしましょう。
生育初期から夏にかけて、アブラムシ、ハダニ、地際の茎に入るメイガ類が発生します。
日ごろからよく観察し、早期発見早期駆除するようにしましょう。
数万種ともいわれるほど種類も豊富で、華やかな美しさのダリアをあなたも育ててガーデニングを楽しんでみませんか?
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