他の花が育ちにくい梅雨時に鮮やかな花を咲かせる、アジサイの育て方

春夏見頃の花

乾燥に気を付ければ栽培は簡単、日本原産の梅雨時に鮮やかな花を咲かせてくれるアジサイ

アジサイは、世界で広く親しまれている日本原産の落葉低木で、梅雨時に鮮やかな花を咲かせてくれます。

丈夫で育てやすく、乾燥しないように気を付けさえすれば鉢植えでも庭植えでも容易に栽培することができます。

アジサイの名は、広義にはアジサイ属(ハイドランジア属)のうち、椀状や円錐状の花序をつける植物の総称として使われています。

狭義には、ガクアジサイが変化したてまり咲きのアジサイを指します。

ガクアジサイは椀状の花序の周辺だけが装飾花で額縁のように見えますが、てまり咲きは花序全体が装飾花に変化したものになります。

葉は尖った楕円形で、多くは光沢があり秋から冬には落葉します。

若枝の先に多くの小花が集まった半球形の花をつけますが、花びらに見えるのは実は「装飾花(中性花)」という実を結ばない花のガクになります。

本当の花は、装飾花の中心にある小さな点のような部分で、額咲きのものは装飾花に取り囲まれた中央部におしべとめしべのある「両性花」がついています。

てまり咲きのものは装飾花のみ、または両性花が装飾花の陰の目立たないところについています。

花色は土壌の酸性度に左右され、青色の花は酸性土壌でよく発色するので過リン酸石灰や硫酸を施すようにするとよいでしょう。

赤色の花は、消石灰や苦土石灰を施し中性から弱アルカリ性にするとよく発色します。

あじさいの語源は「藍色が集まったもの」を意味する「あづさい(集真藍)」が変化したといわれています。

「あづ」は、集まる様を意味し、特に小さいものの集まることを指します。

「さい」は、「さあい」の約、接続詞の「さ」と「あい(藍)」の役で青い小花が集まって咲くことからこの名がつけられたといわれています。

また、「あぢさゐ(味狭藍)」の意で、「あぢ」は誉め言葉、「さゐ」は青い花という説もあるようです。

漢字で「紫陽花」としたのは、「和名類類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」で著書の源順(みなもとのしたごう)が白居易(はくきょい)の詩に出てくる紫陽花をこの花と勘違いしたとされています。

漢名の「紫陽花」は中国の招賢寺にあった花の名で、日本のアジサイとは異なるものだったといわれています。

古くは万葉集に「紫陽花」の記されており、花の色が変わるので「七変化」、「八仙花」とも呼ばれます。

 

 

 

アジサイの土について

アジサイは、水はけと水もちの良い土を好みます。

土を配合する場合は、赤玉土7、腐葉土3を混ぜたものなどを使用するようにします。

それぞれの土については、こちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

また、アジサイは土が酸性なら青色に、アルカリ性ならピンクに花色が変わることで知られています。

青色の花は酸性土壌でよく発色するので過リン酸石灰や硫酸を施すようにするとよいでしょう。

赤色の花は、消石灰や苦土石灰を施し中性から弱アルカリ性にするとよく発色します。

 

 

 

アジサイの肥料について

休眠期の冬と花後に肥料を与えるようにします。

冬の肥料は春からしっかりと生長させてきれいな花を咲かせるために必要です。

12月の終わりから2月半ば頃までに、発酵油粕の固形肥料などを根の広がっている範囲に数か所穴を掘って埋めるようにするとよいでしょう。

青花用・赤花用のアジサイ専用肥料も販売されていますので、それを利用するのも簡単で便利です。

花後の肥料は、新芽を育てるための肥料になります。

花が終わって1カ月ほどしたら、発酵油かすの固形肥料や固形肥料を与えます。

鉢植えの場合は、10日に1回程度を目安に液肥を与えるようにしても構いません。

 

 

 

 

アジサイの苗について

アジサイは、4月頃から開花鉢が店頭に並びます。

こうした開花鉢を購入して育てるのが一般的です。

購入する際には、アジサイ、ヤマアジサイ、外国種アジサイなど種類がありますので確認して購入しておくと、後のお手入れの役に立つでしょう。

苗の選び方についてはこちら、苗の植え付けについてはこちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

 

アジサイの植え付け、植え替えについて

アジサイの開花鉢を購入した場合には、花が終わったら剪定を行ってから植え替えるようにします。

剪定は、花から2節目の上2cm程上で茎をカットするようにします。

鉢花のアジサイは、樹高が低く花を多くつけた状態で出荷するために「矮化剤(わいかざい)」が使用されており、小さな鉢に植えられていることが多いためです。

そのまま放置していると、小さな鉢の中で根詰まりを起こしたり、水切れしたりする可能性が高くなりますので、タイミングを逃さず5~6月頃に済ませるようにしましょう。

アジサイは根詰まりを起こしやすい植物ですので、2~3年に1回程度は植え替えるようにしましょう。

植え替えの適期は、暖地なら落葉して休眠に入る11月から翌年の3月頃まで、寒冷地では、寒さで株が傷まないように3月に入ってから行うようにしましょう。

 

 

 

 

アジサイの日当たりについて

アジサイは、梅雨時期に花を咲かせることから日陰でもよく育つと思われていることが多いようですが、本来は日光を好む植物になります。

日の当たらない場所で育てると花付きが悪くなるので、半日以上日光の当たる場所で管理するようにするとよいでしょう。

 

 

 

 

アジサイの水やりについて

アジサイは水切れに弱い植物で、水はけがよく湿潤な土を好みます。

年間を通して表面の土が乾いたら、鉢底から流れ出る程度たっぷりと水やりを行うようにします。

乾燥しやすい夏場は特に注意が必要で、1日2回行う必要がある場合もあります。

 

 

 

 

 

アジサイの花がら摘みについて

アジサイは、花びらが散ることがないため終わりの見極めがしにくい植物になります。

まだきれいに咲いているように見えても、花をつけたままにしておくと枝が十分に充実せず、来年の花に影響が出ることがあります。

剪定の時期を逃してしまうと、来年の花が咲かない場合もありますので注意しましょう。

額咲きタイプは、両性花が開花し、装飾花が裏返ったら終わりのサインになります。

てまり咲きタイプは、装飾花の中心にある小さな花が開ききり、全体に色あせてきたら剪定の頃合いになります。

 

 

 

アジサイの剪定について

アジサイを栽培する上で、最も大切なことは「花後の剪定」です。

アジサイの花芽は、秋に今年伸びた枝の先端部にできます。

剪定が遅れると、せっかくできた花芽を切り落としてしまうこともあるので、切り落としてしまった場合には翌年は花が咲かなくなってしまいます。

またよい花芽を作るのは、秋までに枝を充実させる必要があるため花が咲き終わったら早めに剪定を行うようにしましょう。

ただし、「アナベル」などのアメリカアジサイは、春に伸びた枝に花芽を付けるため春までに剪定をすれば大丈夫です。

剪定を行う際には、花の2節目に芽があることを確認するようにしましょう。

樹高が高くなってしまっている株は、3~4芽下で剪定しても構いません。

確認した芽の2cm程上で切り、花がらを取り除きます(夏の剪定)。

冬場には、樹高を低く適度な高さに保つための剪定を行います。

主枝(中心の主となる枝)の先端の花芽の上で剪定することで、適度な高さでこんもりと茂る株にまとまります(冬の剪定)。

ただし、アジサイは冬に剪定を行わなくてもある程度花は咲きますので、株の状態を観察して行うかどうか決めるようにしてもよいでしょう。

 

 

 

花数が増える剪定のコツについて

アジサイの花をより多く上手に咲かせるには、花芽のつく位置を知っておくことが重要です。

花芽は、春に伸び始めた若い枝と剪定した場所のすぐ下から伸びた新しい枝につきます。

つまり今年開花した枝は、花後すぐに花の2~3節下のところで剪定するようにすると、また新しい枝が出てき、翌年により多くの花を楽しむことができます。

 

 

 

 

アジサイの増やし方について

挿し木(緑枝挿し)について

アジサイの挿し木は、「緑枝挿し」と「休眠挿し」の方法があります。

緑枝挿しは、今年伸びた枝で花芽のついていない枝を、葉を4枚ほどつけてカットします。

切り取った枝は、全て1/3程度にカットして30分ほど水揚げを行い、湿らせた土に挿して乾燥しないように管理します。

密封挿しでもできます。

密封挿しについては、ラベンダーですが詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

挿し木の土や鉢についてはこちらで詳しく紹介していますので参考にしてみてください。

 

休眠挿しについて

休眠挿しは2~3月頃、昨年伸びた充実した枝を2~3芽つけて切り、切り口を30分から1時間水揚げするようにします。

後は挿し木と同じように管理します。

 

 

取り木について

アジサイは「取り木」でも増やすことができます。

取り木とは、枝を地面に誘引し、土をかけて枝の一部から発根させる方法になります。

アジサイは4~9月頃に行えますが、最も失敗が少ないのは梅雨時の6月になります。

長く伸びた枝を選び、芽のある部分が地面につくように枝を折り曲げて針金をU字状に折り曲げたUピンなどで固定します。

芽のある部分に土をかけ、軽く押さえるようにします。

その後数カ月して、十分に根が伸びたら親株から切り離すようにします。

 

 

 

 

アジサイの温度について

元々日本原産の植物ですので、耐暑性、耐寒性ともに強く戸外で管理することができます。

 

 

 

アジサイの病害虫について

アブラムシが春から秋までの間発生しやすくなります。

新芽や葉、茎に集団でつき汁を吸います。

見つけ次第薬剤を散布するなどして防除するようにします。

またハダニは、高温で乾燥したした状態を好みますので、夏場などは特に注意が必要です。

時々葉水を行うなどして予防し、発見したら早めに薬剤を散布して防除しましょう。

枝の中に侵入し食害する、コウモリガも発生することがあります。

被害した場合、被害箇所に木くずのような分の塊がつきますので、注意して観察するようにしましょう。

もし被害が確認された場合には、枝ごと切って処分するようにします。

 

 

 

アジサイを切り花で楽しむ時のひと手間

アジサイがきれいに咲いていたら、切り花で楽しむのもよいでしょう。

ただし、アジサイは水揚げが難しく、水切りしただけではすぐに萎れてしまいます。

アジサイを切り花にする場合には、湯上げを行うと切り花が長持ちします。

湯上げの方法は、クリスマスローズの記事で紹介していますので参考にしてみてください。

 

 

 

 

梅雨のガーデニングを美しく彩ってくれるアジサイは、日本で古くから愛されてきました。

ビギナーさんにも育てやすく、洋風にも和風にもマッチし、毎年鮮やかな花を咲かせてくれる魅力的なアジサイを、あなたもそだててガーデニングを楽しんでみませんか?

 

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